日本登山医学会に所属する救急救命専門医・国際山岳認定医より被災地の方へ向けた低体温対策の情報が発信されています。2005年に発生したパキスタン地震では、避難している方々の多くが低体温症により死亡しました。明日15日から気温も下がるので、早めに対策と準備をしてください。室内にいても低体温症になる可能性もあります。
追記(18日)被災地では、徐々に携帯電話が復旧し始めているようです。こちらのページは携帯電話でも確認できるので、このページをご覧になった方で、被災地と連絡が取れている方は、メールなどでこちらの情報(アドレス:http://jsmmed-tozanigaku.sblo.jp/)を被災者の方々へ届けるよう周知活動のご協力をお願いいたします。また、平行して当学会では、テレビ・ラジオ等マスコミ関係者と協力して広く周知する活動を継続しております。
一般の人向け <避難場所での低体温症対策>
屋外に退避して救助を待っている方々、避難所でも十分な暖房がなく寒冷環境にいらっしゃる方へ、低体温症にならないために、以下のような点に注意することをお勧めします。
○なぜ低体温症になるのか?
・ 低体温症は、体の外に奪われる熱と自分で産生する熱のバランスで、奪われる熱が多いときに体温が維持できずに起こります。従って、それほど寒くない環境でも、栄養が足りなかったりすれば起こりますし、特に、お年寄りや小児などでは、起こしやすいので注意が必要です。
○低体温症になりやすい人・なりやすい状態
・お年寄り、小児
・栄養不足や疲労
・水分不足
・糖尿病、脳梗塞など神経の病気がある人
・怪我をしている人
○低体温症に気づくには?
手足が冷たくなったり、寒くて震えます。
体の中心の温度が35℃まで下がると低体温症ですが、震えは中心の温度が37℃から始まり、体に警告サインを出します。ここでのんびりしていると、本当に低体温症になります。震えがあるのは、熱を上げるエネルギーが残っている証拠です。ここで改善するのが一番安全で、早道です。
○低体温症の対応が遅れるわけは?
初期の低体温症は、心臓発作のように緊急性が高くないので、もう少し・・と言ううちに、気づくと悪化してしまいます。
○体温測定は?
一般の体温計で体温を測っても低体温症の診断にはなりません。
低体温症の体温は個人差がありますので、測定する必要はかならずしもありません。
とにかく、震えがあるか、意識がしっかりしているか、を確認して下さい。
○震えが始まったら何をすればいいのか?
1。隔離 冷たいものからの接触をさけます。地面に敷物をしたり、風を除けたり、濡れた衣服は脱いで下さい。着替えが無くても、濡れたものは脱いで、毛布などにくるまって下さい。
2。カロリー補給 何よりカロリーで、体温を上げるエネルギーを補給することが大切です。
3。水分補給 体温が下がると利尿作用が働いたり、体内の水分バランスが変化し、脱水になります。温かくなくてもいいですので、水分をとります。温かければ、さらに理想ですが、まずは水分補給です。
4。保温・加温 体温を奪われないために、なるべく厚着をして下さい。顔面・頚部・頭部からも熱の放散が大きいので、帽子やマフラーなどで保温して下さい。毛布などにくるまる場合は、一人でくるまるより2−3人でくるまった方が暖かいです。特に、老人や小児など弱い人には、元気な人が寄り添って一緒に包まれると保温効果があります。
屋外場合は、これ以上濡れないように、湿気から隔離できる衣服やビニール素材などがあれば、くるまって下さい。震えがある段階では、どんな温め方をしても大丈夫です。
○悪化のサインは?
震えがなくても低体温症になっていることもあります。
見当識障害(つじつまの合わないことを言う)、ふらつくなども、重症な低体温症の症状です。また、震えていた人が暖まらないまま震えがなくなって来るのは重症になっている証拠です。
○震えがなくなったり、意識がもうろうとしてきたら?(19日加筆・修正)
震えが止まってしまった低体温症は、自分での回復は難しいです。急に悪化する可能性もあるので、できれば、至急病院に搬送しましょう。ただ、避難所によっては搬送が困難だったり、危険を伴うことも考えられます。その時は無理をせずに、以下のような対応をして下さい。
これ以上体温が低下しないよう、今まで以上にしっかり加温をしてください。またコマメに、意識が悪化していないか、呼吸をしているか、確認して下さい。また、この状態では、丁寧に扱い、可能であれば横に寝かせて下さい。さすったり、乱暴に扱うと、心臓が止まるような不整脈を起こすことがありますので、注意が必要です。
この状態では、
1。むせないようであれば、カロリーのある飲物をのませてください(低血糖や脱水を伴っていることが多いです)
2。ペットボトルなどに、人肌程度のお湯を入れて湯たんぽを作り、脇の下・股の付け根・首の回りに当てる(42℃を超えた湯たんぽは、長時間当てるとやけどをするので注意)
以下の場合は、病院への搬送の必要性がさらに高くなります。
・ 加温を開始しても意識が悪くなる場合や呼吸状態が悪化する場合
・ 半日以上加温しても変化のない場合
・ 怪我をしている場合、糖尿病や脳梗塞がある場合、子供、高齢者は体温の回復が困難なことがありますので、病院搬送の判断を早める必要もでてきます。
追記(17日)
暖房器具がない場合は、なるべく小さな空間に多くの方が入ると人の体温で空間内は暖められます。
例@避難所には運動会などで使う白い大型テントなどがあるはずです。それらテントの三角上部だけを体育館などの室内四隅に設置する。床には支援物資などで使われた段ボールなどを多く敷き詰め、床からの冷気を防ぐ。出入り口用の切り目を両サイドに入れる。その中になるべく多くの人が入る。救援物資でキャンプ用テントが届いている場合でも、室内で使われていないようなので、室内にテントを建てる事も有効です。テントは屋外で使うものという固定概念をなくしましょう。
例A救援物資が送られてきたら使用済みダンボールが大量に出てくると思いますので、ダンボールハウスを作るのも一つの手段です。
避難所の多くは、アリーナや体育館などなので、そのままでは熱がどんどん逃げていきます。テントやダンボールを使った小さい空間は、中に入った人の熱で暖められ逃げにくいので、中に体力の低いお年寄りや子供を多く移動させます。全員がすると混乱も生じると思うので、体力弱者から入れてあげると良いです。ただし、その中で暖房器具などを使うと一酸化炭素中毒を起こす恐れもあるので、注意が必要です。
追記(16日)
このブログでは、避難所で過ごされている方からの質問対応コメントを受け付けています。被災現場に行けない当学会所属医師・関係者も、気持ちは避難所にあり、多くの方の命を救いたいという気持ちは変わりませんので、できるだけ対応させていただきます。
被災地にいらっしゃる被災者の質問を優先すべく、一般の方の匿名・ぺンネーム等での返信コメントは削除させていただきます。質問に対する返事は、当学会医師が所属と氏名を明らかにして対応させていただきます。
2011年03月19日
被災者の方へ低体温対策情報
posted by 事務局 at 06:42| Comment(21)
| 低体温症

(電気のみ復旧しました。)
海沿いの避難所で暮らす方々へどうにか情報提供したいと考えていますが、
上記情報について、さらに提供いただける注意点があれば助かると思い、コメントいたします。
『震えが始まったら何をすればいいのか?
』の部分が一番重要だと思いますが、
2,3については限られた水と食料の中、実施がなかなか難しいと感じます。
例えば、食事を全部食べずにとっておく、
震えが来る前の注意点として、
寝る前に何か食べて体温をあげておく、
こまめにカロリーをとる、など工夫できることがあるでしょうか?
また、低体温症が起こりやすい時間帯などはあるのでしょうか?
気温がもっとも下がる明け方が危険などありましたらご教授ください。
よろしくお願いします。
2、3については、おっしゃる通り避難所では限られているので、難しい対処法だと思います。山の中の低体温防止策では、放熱の防止としてなるべく小さな空間に複数の人間が入り、低体温症患者を現状より放熱させないよう、ツェルトと呼ばれる簡易テントを使います。避難所の場合、大きな体育館などが考えられ、大きな空間の中では放熱が予防しきれない可能性もあるので、なるべく小さな部屋にできるだけ大人数が入り加温してあげる事が、現実的に対応できる事だと考えます。
転載させていただきます。
飲食物を取る以外の方法を、充実させていただけるよう希望します。
新聞紙を服の下に巻くのも有効でしょうか。現地に新聞紙がないかもしれませんが。
水道以外は復旧しており、少しでも多くの方へご協力できればと思っております。
こちらの情報をブログで紹介させて頂きたいと思います。
津波の被害を受けたところでは、着替えも無く、濡れた衣服のまま避難所にいらっしゃる方もいると伺いました。また、1枚の毛布を複数の方で利用されてるところもある状況とのこと。
まだまだ電気が復旧していない場所が多い中、インターネット以外の方法でこちらの内容を被災地へと届けられればよいのですが…。
ペットボトル(オレンジキャップの加熱タイプがよい)を利用した即席湯たんぽは水道水でなくても可能です。
テレビのレポーターの方、報道するばかりでなく、避難所の皆さんにお勧めできないでしょうか。
外でのたきぎが行われていれば、そこでお湯を沸かし、適温(40度ほど)のお湯を入れて、
被災されている方に渡せないでしょうか?
お湯の量にも限りはあると思いますが、
高齢者などを優先に低体温を防げると思います。
この情報、どんどんツイッター等で回覧してほしいです
宜しくお願いします
湯タンポで身体温めて頑張ってください。
焚き火が出来るをなら、炭火の上に灰を厚めに載せて、水を入れたペットボトルを立てて置き、周囲を砂か土で覆い、周囲にも炭火を置きます。
この場合、必ずキャップは外してください。
同じサイズのペットボトルがあれば、次々と差し替えて使えます。
なお、海水や泥水を使う場合は、くれぐれも誤飲されないよう注意して渡してください。
低体温の対策についてコメント致します。
私が学生時代、山岳部にいた時代の経験を参考にしてはいかがでしょうか。
寒さで凍えている人を保護するためには、小さな空間を作る事が非常に有効です。階段下の小部屋など、またはダンボール、ビニールシート、カーテンなどで隙間の無い部屋をこしらえ何人かの人が入ると体温でかなり暖まります。
その際、時々の換気と火災には十分の注意が必要ですが、ローソクがあれば1本でも大きな暖房効果が有ります。
お年寄り、体の弱い人には有効だと思います。
北海道の地より早く春が来ることを祈っております。
神戸での経験者の方がおっしゃるのですから、確かに暖まるのでしょうね。水よりは石の方がずっと熱容量が大きいので、温度も長持ちしそうです。
ただ、くれぐれも低温熱傷には気をつけてください。最初当てたときに、「気持ちいい熱さ」でも、知らないうちにやけどになります。
お年寄りや、糖尿病などの基礎疾患があったり、皮膚の感覚が鈍い人は特に注意が必要です。
でも現実は、危険を承知していても「背に腹は替えられない」寒さなのでしょうね。
眠るときには使わずに、起きているときに意識して、当てる場所を変えながら暖まる方が安全だと思います。寝るときに使うなら、身体からは離して、寝具を暖めるつもりで。
毎年、湯たんぽでやけどをしてくる方がたくさんいて、みんな治るまでに2ヶ月くらいかかります。
自分の体験ではっきり確認した事ですが、たとえ布団のような物の上に寝ていても、下に段ボールまたは、ベニヤ板のようなものを、2枚以上重ねてしくことです。
私は、この11月中旬の、海の吹きっさらしに近い極めて寒い状況で、コンクリート地面の上で真夏用のほぼ断熱力ゼロなテントで1週間すごしました。ある意味クレイジーな体験ですが、山岳体験よりは、今の被災地の状況に近い体験だと感じての投稿です。 断熱シート1枚はしいていましたが、初めは、地面から体温を奪われて、寒さ厳しく、セキも出てきたのですが、 2日後くらいに、さらに段ボール1枚をしくと、ぜんぜん違いました。 さらに次の日には、またもう1枚しくと、すっかり、その環境に何の不満も無く1週間過ごせたのです。
つまり、断熱シート1枚のみや、段ボール1枚のみでは、少し足りません。ましてや、冷え性、高齢などの条件の悪い方では、段ボール3枚重ねでも、良いかもしれません。
たかが、と思わずに、やってみてください。
1枚ではダメでも、2枚で、すっかり状況は変わります。 それでもダメなら、3枚です。
それと、私はこれは体験していない話ですが、NHKでは、ついでに段ボールで体もおおうのも、効果があると、言っていました。
ですが、まずは、床です。極寒の状況では布団などは、断熱は出来ません。 床が、冷たい幽霊の手の様に襲ってきます。 ですから、段ボール2枚以上重ねです。
各放送局にも、これをもっと、勧めてくださいと、メールしましたが、当てには出来ません。
広めてくだされば、1人でも、救われればと思います。
私が見た中で、NHKでも、1回だけ、この段ボールの事を言っていただけです。
トイレの環境もよくなければ 水があっても 我慢してしまうと思うので 高齢の方たちでも使えるトイレの工夫も必要だと思います。 座れる高さの 缶や段ボールや植木鉢などにゴミ袋をかぶせて 段ボールなどで便座をつくって使うとか、 机をトイレの前に置いて手すり替わりにできないものかと思います。 レジ袋の端を切ってオムツカバー替わりにする方法も役に立つのでは。
みんなの援助も届くのに時間がかかる場所もあります。どうか少しでもいいのでできることをしてしのいでください。どうか頑張ってください。あの津波でも生き残った命です。祈っています。
発泡スチロールを数十センチ敷いて眠ると、温かいという小千谷市の方の経験を耳にしています。
山登りの友人に聞きましたところ、なぜ、冬山で登山者が雪の上でテントを張れるのか聞きましたところ、空気枕を大きくした敷物状のものの上で眠るのだそうです。これが、一番温かいと言っていました。この上に寝袋を敷いて眠ると言ってました。
今、友人2人が、岩手県の集積場所の滝川村(?)に向かって、灯油と生活物資を持って出発しました。きっと、現地に着いたら、必要な場所に向かうことになると思います。
http://nature21.exblog.jp/d2011-03-12/